2026.08.21 エンジニアズコラム 並列化
第13回 アプリケーションの並列化による高速化
【目次】
いろいろな高速化の方法
最近のコンピューターやスマートフォンは、アプリケーションの高速化によって、一度に多くの処理を同時に進めることができるようになっています。アプリケーションを速くする方法には、様々なものがあります。ここでは、よく使われている方法をいくつか紹介します。
●アルゴリズムの工夫(やり方を変える)
処理の順番や方法を見直し、より効率的なやり方に変えることで処理を速くします。
例:ネットショップアプリで商品を探すとき、最初から全ての商品を順番に調べるのではなく、「人気順」や「カテゴリー」で絞り込んで探すことで、すぐに欲しい商品が見つかります。
●キャッシュを使う(よく使うものは手元に置く)
一度使ったデータや計算の結果を覚えておいて、次に同じものが必要になったときにすぐに使えるようにします。
例:ニュースアプリで一度読んだ記事の画像や内容をスマホに保存しておくことで、次回はすぐに表示できます。
●非同期処理(裏で進める)
時間がかかる処理を他の処理と同時に進めて、待ち時間を減らします。
例:SNSアプリで写真をアップロードしている間も、他の投稿を見たり、コメントを書いたりできるようにすることで、アップロードの待ち時間を有効に使えます。
●並列化(同時に進める)
複数の処理を同時に進めて、全体の時間を短くします。
非同期処理に似ていますが、非同期処理は「順番を気にせず処理を進める」方法で、並列化は「タイミングを合わせながら、複数の処理を同時に進める」方法です。
例:写真加工アプリで一枚一枚選択して加工するのではなく、複数の写真を一度に加工することで、繰り返しの手間を省けます。
●不要な処理を減らす
本当に必要なことだけをやって、無駄な処理を省きます。
例:地図アプリで今見ている場所だけの地図データを読み込んで、見ていない場所のデータは後回しにすることで、無駄なデータ通信処理を減らすことができます。
どの方法も、使う人がストレスなくアプリケーションを使えるようにするために大切です。この中でも今のコンピューターが得意な方法である「並列化」について、次に詳しく説明します。
並列化とは?
先ほど「並列化」とは、たくさんの処理を同時に行うことで、全体の時間を短くする方法と述べました。複数の写真を加工してアルバムに保存する処理を例にすると、1人で順番に加工をするのではなく、複数人で写真を同時に加工し、最後にまとめて保存した方が効率よく速く終えることができるイメージです。

このように並列化は「同時にできる処理を分けて同時に進め、最後に結果をまとめる」という流れで行います。

ここからは写真アプリを例に、並列化にはどのような方法があるのか見ていきましょう。
並列化の種類
●マルチスレッド(1つのアプリの中で分担)
1つのアプリケーションの中で、複数の処理を同時に進める方法です。
例:1枚の写真の「明るさ調整」「色調整」「トリミング」という3つの処理を別々に同時に行います。これにより、処理が速く終わります。

●マルチプロセス(いくつかのアプリケーションで分担)
複数のアプリケーションやプログラムで、それぞれ別の処理を同時に進める方法です。
例:10枚の写真を10個のアプリケーションが同時に編集します。たくさんの写真を効率よく処理できます。

●分散処理(たくさんのパソコンで分担)
複数のパソコンに処理を分けて、同時に行う方法です。
例:1000枚の写真を10台のパソコンに分けて、それぞれ100枚ずつ編集し、最後に結果をまとめます。これで全体の処理がとても速くなります。

●GPU並列処理(画像処理用の特別な装置を使う)
ゲーム機やAIの計算に使われる「GPU(画像処理装置)」という装置は、小さな「コア(頭脳)」をたくさん持っています。この装置を使って大量の処理を同時に進める方法です。
例:CPUでは10枚ずつしか処理できませんが、GPUでは1000枚の写真を一気に処理することができるので、CPUよりもはるかに高速に処理が進みます。

並列化は、たくさんの処理を分担して同時に行うことで速く終わらせることができるメリットがありますが、デメリットもあります。そのため、処理や処理の内容を十分に理解し、適切に実装することが重要となります。
メリット
・複数の処理で分担するので、たくさんの処理を速く終わらせることができる。
・パソコンの性能を最大限に活用できる。
デメリット
・同時に処理することで問題が起きることがあり、バグを見つけにくくなることがある。
例:複数の処理が同じ写真を同時に触ってしまい、どちらの処理が先に終わるかで、写真を貼る順番がバラバラになったり、処理が止まったりしてしまうことがあります。こうした問題は、起こるタイミングによって状況が変わるため、同じ問題を再現するのが難しく、原因を見つけるのがとても大変です。
・分担の準備や管理に手間がかかる場合もある。
例:複数の処理がぶつからないようにルールを決めたり、処理の順番や割り当てを調整したりする必要があります。この調整には時間や手間がかかるため、全体の処理速度の向上と、調整にかかる手間のバランスを考えて、アプリケーションの作り方を工夫する必要があります。
まとめ
アプリケーションを高速化するためにさまざまな工夫があります。
「並列化」は、たくさんの処理を同時に進めて時間を短くする強力な方法です。また、「アルゴリズムの工夫」や「非同期処理(待ち時間を減らす方法)」なども、普段使うアプリケーションから大規模なシステムまで、広く使われています。
当社製品でも、最新の技術を積極的に取り入れ、皆さまにより快適に利用していただけるように努力してまいります。
