2023.07.18 エンジニアズコラム エックス線

第3回 エックス線について

はじめに

FUTECでは、主にシート内の欠点を検出する検査装置と、シートの厚さを測定する厚さ計を製造・販売していますが、どちらの装置にも光源としてエックス線を使用した機種をラインナップしています。今回は、エックス線を利用するメリットについて、エックス線の物理的性質を交えて説明したいと思います。

エックス線の性質

エックス線は波長が1pm~10nm程度の電磁波(図1)のことで、1895年にドイツのレントゲン博士によって発見されました。波長が非常に短い(エネルギーが高い)ため、物質を非常によく透過する性質があります。

図1: 波長によって分類した電磁波の名称

エックス線が物質を通過する場合、物質を構成する原子内の電子との相互作用によって、吸収や散乱を起こします(図2)。従って、原子内の電子密度が高い(原子番号が大きい)ほど、また、通過する物質量が多い(物質の密度が高く、厚みがある)ほど、エックス線の透過する量が少なくなります。

図2: エックス線と原子の相互作用の模式図

こうしたエックス線の強度が物質中で減衰する度合いは、ランベルト・ベールの法則(式1)が適用できることが知られており、指数関数的な減衰の仕方をします(図3)。

図3: 物質の厚さと物質透過後のエックス線強度の関係

エックス線を利用した製品

FUTECでは、エックス線のこのような性質を利用して、エックス線の強度の変化を製品の厚さの変化として捉えるエックス線式厚さ計や、製品中の金属異物を発見するエックス線式検査装置を製造・販売しています。

このようにエックス線を利用することによって、可視光などの通常の光源では得られない有益な情報が得らます。しかし、エックス線は危ない、扱いが難しいという印象も、皆様にはあるのではないでしょうか。FUTECの装置はエックス線の装置外への漏洩を規制値以内に抑えるように設計・製造しているため、安全かつ簡単にご使用していただくことができます。今回ご紹介した装置を皆様がご活用できそうな対象製品がございましたら、弊社までお気軽にお声がけいただけますと幸いです。

参考文献

飯田博美 編、「放射線概論」通商産業研究社、(1989)
Als-Nielsen D.McMorrow “X線物理学の基礎” 講談社 (2011)

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